
以前、参加したあるセミナーでのお話です。
しわやたるみの原因は骨にある
と、皮膚科の先生が教えてくださいました。
えーなぜー?
と、会場にいた女性陣からは、おどろきの声があがりました。
それは、顔の骨の骨密度が減るからです。
骨密度が減ると骨自身も縮み小さくなり、変形をおこす場合もあります。
結果、骨の上にのっている皮膚が、しわやたるみを作るのです。
顔面骨の骨量減少は、40代から進行するといわれています。
おどろきー!
閉経後は、骨粗しょう症に気を付けようと一般にはいわれていますが、それじゃあ全然遅いじゃないか。
そうなんですよね。
若い時から骨密度を獲得しておくことが重要なのです。
骨の健康を考えることは、すごく大切なこと。
年を重ねても美しくいたいと願う方に、ぜひ読んでいただきたい「骨」のお話です。
Contents
骨密度の減少は顔にもおこる
骨密度の減少は、大腿骨や腰椎(ようつい)のような大きな骨だけにおこるものと考えがちですが、違います。
骨密度の減少は、全身の骨におこるのです。
考えてみれば当たり前のことでしょうが、私もはじめて聞いたときはショックでしたね。
顔には、顔の骨があって、骨の上に筋肉と皮膚がのっています。
目の周りの骨がやせると、目のくぼみが。
顔の骨がやせると、顔の皮膚が下垂して、しわやたるみができるのです。
おどろくことに、腰の骨よりも顔の骨のほうが、加齢による骨密度の減少割合が約10%も大きいといわれています。
しかも顔の骨の骨密度は、41~60才の中高年層で、すでに減少し始めているというデータが報告されているのですから悲しくなります。
言いかえれば、顔面骨の骨粗しょう症は40代から始まっているといえるのです。
なんということでしょう。
じゃあ、40才から気を付ければいいのでしょうか?
いいえ、もっと若い時に、高い骨密度を獲得しておくのが良いのです。
骨粗しょう症の予防と治療ガイドラインでは以下のように述べられています。
若年者における予防の意義
若年期に高い骨密度を獲得しておくと、後年になって骨密度の低下があっても、骨粗しょう症の発症や骨折閾値への到達を遅らせることが可能である。
骨粗しょう症の予防と治療ガイドライン2015年版 骨粗しょう症の予防と治療ガイドライン作成委員会
少なくとも18歳以前に、強度のある運動を行うことが、骨粗しょう症の発症予防に最も効果的である。
骨粗しょう症の予防と治療ガイドライン2015年版 骨粗しょう症の予防と治療ガイドライン作成委員会
つまり、若い時から運動をして、バランスの取れた食事をとり、高い骨密度を獲得しておくことで、骨粗しょう症を予防できると述べられています。
若い時はとくに、皮膚や毛髪などの目に見える部分ばかりに気をとられてしまいます。
でも将来、美しく年を重ねていきたいと思ったら、見えるところだけでなく、骨や内臓など、体の内部にあって目に見えない部分にも気をくばるべきなんですね。
体の内部から美は作られるのです。
骨密度の減少はなぜおこるのか
私たちの骨には、破骨細胞という骨をこわす細胞と、骨芽細胞という骨をつくる細胞があります。
古くなった骨をこわし、あたらしい骨がつくられています。
いつも骨は、生まれ変わっているのですね。
これを、骨のリモデリングといいます。

骨をこわすことと骨をつくることのバランスがくずれると、骨密度が減少していきます。
骨密度が減少する主な要因をまとめてみました。
- 女性ホルモンの減少
- 運動不足
- 無理なダイエット
- 乱れた食生活
- 喫煙
- 過度の飲酒
とくにいわれているのが、女性ホルモンであるエストロゲンの減少です。
エストロゲンは、骨をこわすのをゆるやかにして、骨からカルシウムがとけだすのをおさえる働きがあります。
閉経すると、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌がすくなくなり、骨がこわれやすくなります。
そして、急激に骨密度がへっていくのです。
だから閉経後の女性はとくに注意しなければいけないのですね。

では、なぜタバコはいけないのでしょうか。
タバコは、エストロゲンの作用をおさえてしまいます。
そして、腸からカルシウムを吸収することをさまたげます。
そのうえ、尿にカルシウムをたくさん排泄させてしまうからなんです。
骨にたいせつなカルシウムですから、しっかり体の中にとりこまなくてはいけません。
アルコールもたくさん飲んでしまうと、タバコと同じようにカルシウムを吸収するのをさまたげます。
無謀なダイエットをしていませんか?
栄養バランスをきちんと考えて行うダイエットは賛成ですが、偏った食事でのダイエットは、骨に悪影響を及ぼすのでおすすめしません。
体は食べ物でできています。
美しい体は食べ物からつくられるからです。
骨密度のほかに、もう一つ骨には大切なことがあります。
それは、骨のしなやかさをつくっている骨のコラーゲンをさびさせないことです。
次は、骨密度とは、少しだけちがう方向からの骨のお話です。
骨密度(骨量)だけでなく、骨のしなやかさが大切
一般的に、エストロゲン(性ホルモン)の低下と、加齢にともなう骨密度の減少によって骨粗しょう症がおこると考えられています。
でも、骨密度が高い人でも骨折する人がいるのはなぜでしょうか。
近年の研究で、原因の一つとして生活習慣病が深く関係していることが明らかになってきました。

骨は、鉄筋コンクリートの建物にたとえられます。
鉄筋に相当するのがコラーゲンで、コンクリートに相当するのがミネラル(カルシウム)です。
鉄筋がさびつくと、建物の強度は低下します。
そして倒壊しますね。
骨も同じです。
酸化ストレスや高血糖の状態がつづいたりすると、コラーゲンはさびて、骨はもろくなるのです。
骨密度が高くても、生活習慣病のひとは、1.2~2.5倍以上骨折するリスクが高いというデータが得られています。
いくら骨密度が高くても、骨の質がわるければ骨折しやすくなるのですね。
骨密度とともに、骨の質が大切であることを理解しましょう。
骨がもろい人には、次の共通点があります。
- ホモシステイン ↑(血中に存在するアミノ酸)
- ビタミンB6 ↓
- ペントシジン ↑(コラーゲン中のタンパクが糖化してできた生成物)
血中のビタミンB6が低く、血中ホモシステインとペントシジンが高くなることがわかりました。
骨がもろい人は、ホモシステインが高い
ホモシステインは、必須アミノ酸の一種であるメチオニン代謝の中間代謝物です。

ホモシステインからは、再度メチオニンがつくられたり、美白にかかわるシステインなどにかわるなど重要な役割があります。
しかし、血中ホモシステインが高い人は、動脈硬化や心疾患がおこりやすいといわれています。
ホモシステインが、メチオニンやシステインなどに代謝しきれずに、血中のホモシステインが上昇してしまうからです。
ホモシステインがメチオニンやシステインなどに代謝していくには、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸が必要です。
ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸が不足すると、ホモシステイン濃度が上昇すると考えられています。
ホモシステインは、コラーゲンの質を低下させるといわれています。
血管のコラーゲンが固く、しなやかさを失えば、動脈硬化に。
骨のコラーゲンが、さびつくと、骨折しやすくなってしまうのです。。
骨がもろい人は、ペントシジンが高い
ペントシジンは、コラーゲン中のタンパクが糖化してできたものです。
つまり体が糖化していることを意味します。
糖尿病や慢性腎不全患者さんの血中ペントシジン濃度は、著しく高値を示します。
同時に、骨のコラーゲンがさびついてくるとペントシジンが高値になることも研究からわかってきました。

ホモシステインとペントシジンは、尿中NTX(破骨細胞因子)やオステオカルシン(骨芽細胞因子)などとともに、骨質マーカーとして骨粗しょう症の診断に用いられています。
骨がもろい人は、ビタミンB6が不足している
ビタミンB6は、ホモシステインの説明の中でもおはなししましたが、アミノ酸や脂質の代謝を助けています。
そのほかにも体のために重要な働きをしています。
- アミノ酸や脂質の代謝を助ける
- 免疫機能の正常な働きの維持
- 皮膚の抵抗力の増進
- 赤血球のヘモグロビンの合成
- 神経伝達物質の合成
ビタミンB6を多く含む食品は、にんにく、まぐろ、かつお、さんま、バナナなどです。
骨がもろくなった人は、血中のビタミンB6が低いのです。
ビタミンB6は、積極的にとりたいビタミンです。
ホモシステインを正常にたもつため、そして全身のコラーゲンのためにも、ビタミンB6をしっかりとりたいですね。
専門的でむずかしいお話になりましたが、要は、骨密度の減少だけでなく、骨の鉄骨の部分であるコラーゲンの部分も大切であることをお伝えしました。
そして、糖尿病などの生活習慣病にならないこと。
食事に気をつけて、元気な骨を維持していきたいですね。
骨密度とともに骨のしなやかさは、美しく年をとるうえで重要です。
いつまでも、スタイルもルックスも、若々しくいたいと思いますよね。
骨折によって体型が変わってしまうのは悲しいです。
次は、いつのまにか骨折で、体型が変わってしまうお話です。
背中がまがっていませんか
パソコンに向かい続けていると、ついつい前かがみの姿勢になり背中が丸くなっていることに気がつきます。
気がついて、背中を伸ばそうと思ってのびるなら姿勢の問題です。
背部の筋力低下や、生活習慣が原因です。
伸ばそうと思っても背中がのびない場合は要注意。
いつのまにか骨折かもしれません。
いつの間にか骨折とは、骨粗しょう症が原因で、背骨が「いつのまにか」圧迫骨折をしてしまうこと。
1か所に圧迫骨折がおこると、次の圧迫骨折がおこるリスクは、なんと2.6倍。
いつのまにか骨折で背中が曲がってしまうのです。
背が縮んだり、腰が痛いという症状はありませんか。
症状があれば早めの受診をお勧めします。
いつのまにか骨折の疑いがあらからです。
いつまでもピンと背中をのばして、スタスタと歩いていたいです。
若さの秘訣は骨にありです。
「若さの秘訣は骨にあり」まとめ
体の老化は、自然なことなのですが、美しく年を重ねていくことは努力によって獲得できます。
今日は骨についてお話させていただきました。
- 骨減少は、全身でおこる
- 顔面骨の減少は40才からはじまる
- 若い時に、十分な骨密度を獲得しておくことで、骨粗しょう症を予防できる
- 骨密度だけでなく、骨質も大切
- コラーゲンのさびをつくらない
- 内臓や骨の健康は、美しく老いるために必須
いかに美しく老いていくかと考えた場合、骨の健康を考えることはとても大切です。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
あなたのお役に立つことができたなら幸いです。
- 引用文献:骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版
- 引用文献:骨粗鬆症の予防と治療ガイドラインQ&A2011年版
- 参考文献:なぜ高い骨密度でも骨折するか 斎藤充 歯薬療法109Vol.32
- 参照:アンチエイジングトピックスNo.073 田中消化器科クリニック