静岡弁は語尾がおもしろい

しぞーか弁 静岡弁は語尾がおもしろい

ようこそ“もめん”です。

以前、当ブログで静岡弁のお話をして、あったかい静岡弁をいくつかご紹介させていただきました。

ありがたいことに多くの方に読んでいただきまして、静岡弁にも興味を持ってくださる方がいらっしゃることをとてもうれしく思いました。

まだまだおもしろい静岡弁がありますのでご紹介したいと思います。

前回ご紹介しきれなかった静岡弁のなかから、語尾がおもしろい5つの静岡弁(しぞーか弁)をご紹介します。

本日もちょっくし(少し)笑っていただけましたら幸いです。

語尾がおもしろい静岡弁

静岡弁にはおもしろい言い方があります。

名詞や動詞の語尾にそれらをつけることによって、その言葉を強調したり、疑問文になったり、親しみ度が増すという便利な言葉です。

ほんの短い言葉を語尾につけるだけで、表現が豊かになるんですから不思議です。

たとえば

「あんたっちさぁ~行っただら、行かないっけ、行ったじゃん、行ったっしょ~」

こんな感じで使います。

訳すと、「あなた(方)は、行ったことがあるでしょ?え、行かなかった? いやいや、そんなわけないよ行ったでしょ。たしかに行ったよ。」というニュアンスの意味になります。

ただ、こちらの言葉は、名詞につけるのと動詞につけるのとでは意味合いが変わる場合があります。

また、シチュエーションや話す人の想いの程度によっても微妙に意味が変わってきます。

便利かつ不思議な静岡弁です。

そのあたりも詳しくお話していきましょう。

では、本日お話する語尾につけて表現を豊かにできる5つの言葉です。

  • ~さぁ
  • ~だら
  • ~っけ
  • ~じゃん
  • ~っしょ

それでは、一つずつお話していきます。

~さぁ

まずは「~さぁ」からお話しましょう。

こんな風に使います。

「オレ(わたし)っちさぁ、せんだってさぁ、バスでさぁ、デパートにさぁ、行ったさぁ・・・」

「~さぁ」のオンパレード、まさに「~さぁ」づくしです。(笑)

例として少々盛り込みすぎてしまったかもしれませんが、親しい人や友人、家族など気をつかわないひと同士であれば、無意識のうちに沢山の「~さぁ」をつけて会話している人は多いです。

もちろん男性も女性もそうでない方も性別関係なく使いますよ。

何といっているかというとですね、知り合いにデパートへ行った時の話をする場面でして、「オレ(わたし)ね、このまえね、バスに乗ってデパートに行ったんだけどね・・・」なんですね。

「~さ」と短く言う場合もありますが、「~さぁ」と語尾をすこしのばす言い方が特徴です。

名詞や動詞の後につける「~さぁ」は、女性がよく使用する「~ね」と似ていて、言葉と言葉の間にワンクッション置く言い方になるのかもしれません。

そして、おもしろいことに「~さぁ」には話す人のその時々の感情が盛り込まれるので、表情豊かな会話になります。

うれしい感情だったり、イライラ感、怒り、可笑しさや強調などの感情によって、「~さぁ」の言い方が変化するからなんですね。

「~さぁ」をつけることによって、言葉にリズム感が生まれ、言葉と言葉の間に区切りができ、話す人の感情が聞いている人に手にとるように分かるのです。

そのため相手に親しみや感情が伝わりフレンドリーな関係が構築できると思います。

~だら

次に「~だら」ですが、多くは男性や年配の方が使う印象です。

名詞、動詞、形容詞、副詞につけます。

○○じゃないか?というように不確実なことを確認する場面などに使う場合と、○○に決まってると確定するときに使う2つの意味合いがあります。

語尾を上げたり下げたりイントネーションのつけ方や、「~だら」に込められた感情によって意味が変わってきますので、慣れないとややこしいかもしれません。

例で説明していきましょう。

・人間だら → 人間でしょう?

・人間だら → 人間に決まってる

人間だら⤴と語尾を上げる言い方や曖昧な言い方の場合は、疑問文になります。

語尾をはっきり言いきるときは、確定文になります。

動詞に「~だら」をつけると

・行っただら → 行ったでしょ?

・行っただら → 行ったに決まってる

・乗っただら → 乗ったんじゃないかな

・乗っただら → きっと乗ったよ

形容詞に「~だら」をつけたら

・長いだら → 長いでしょ

・長いだら → そりゃあ長いに決まっているよ

副詞に「~だら」をつけると

・ずっとだら → ずっとでしょ

・ずっとだら → ずっとだよ

このように同じ「~だら」でも言い方や感情のつけ方でニュアンスが変わります。

~っけ

静岡の人はケッケ、ケッケとケが大好きです。(笑)

「~っけ」。

私も良く使います。

何かを尋ねるときは、「~っけ」をつけます。

例えば

・赤いっけ? → 赤かった?

・早いっけ? → 早かった?

・美味しかったけ? → 美味しかったですか?

・課長だっけ? → 課長だった?

・おもしろいっけ? → おもしろかったですか?

のように、確認するときに疑問文のようにして使います。

こちらは語尾が少し上がります。

反対に語尾を下げて言う場合もあります。

・赤いっけ → 赤かったよ

・早いっけ → 早かったよ

・美味しかったっけ → 美味しかったよ

・課長だっけ → 課長だったよ

・おもしろいっけ → おもしろかったよ

という意味になります。

なんにでも「っけ」をつけちゃう感じですね。

さらに「~っけ」にはもうひとつ感嘆詞的な使い方があります。

「~っけ」の応用編。

もうひとつのつかい方です。

「け」の部分を強調して強く発音し、感情をたっぷりのせて言うことで思いをいっぱい伝える方法です。

例をご紹介します。

語尾につけた「け」を強く発音して言ってみてください。

「あ~美味しいっけぇ」とほっぺが落ちそうに言うと、あ~ものすごく美味しかったよ!!という意味になります。

「すんごく痛いっけ!!」と言えば、ものすごく痛かったぁ~です。

「ものすごく景色が綺麗だっけぇ!!」とうっとり思い出すように言えば、ものすごく景色が綺麗で感激したよ!!というニュアンスになります。

~じゃん

ジャンジャン、ジャジャジャジャーン

そうそう「~じゃん」も良く使いますよ。

私も良く使っています。

驚いたときや、肯定的にとらえるとき、思っていたもの(こと)よりも優っているとき、~だと言い切るとき、そして相手の行動や言動をなじるときなどに使います。

例を挙げてみますね。

・美味しいじゃん → 美味しいよ!

・いいじゃん! → いいと思うよ!

・赤じゃん → 赤だよ

・言ったじゃん → 言ったでしょ

・食べたじゃん → 食べたでしょ

・ダメじゃん → ダメでしょ

・そうじゃん → そうだよ そう思うよ やっぱりそうだったでしょ

おなじ「じゃん」でも会話の内容や場面によって、話している人の感情が「じゃん」に込められることによって意味合いが変わります。

「じゃん」を普通にいうのか、強く発音するのかでもニュアンスが微妙に変わるのです。

~っしょ

最後に「~っしょ」。

標準語の「○○でしょ」が短く変化したものですが、リズミカルで軽快な言い方が愉快です。

こちらも「しょ」の部分を上げる言い方をすれば尋ねる言い方になります。

例を挙げてみますね。

上が普通に、下は「しょ」を上げる感じで発音してください。

・犬っしょ → 犬でしょ、犬だと思うよ

・犬っしょ → 犬でしょう?

・甘いっしょ → 甘いでしょ、甘いと思うよ

・甘いっしょ → 甘いでしょう?

・困ったっしょ → 困ったでしょ、困ったんじゃないかな、困ったと思うよ

・困ったっしょ → 困ったでしょう?

時として例外もあります。

「ねえねえ、怒ったっしょ。」

デート中、彼女がいたずらっぽく彼氏に聞きます。

この時の「しょ」は上げて言うのでもなく、下げて言うのでもない彼女の感情の「しょ」になるのです。

あー、本当に奥が深いのですよ。(笑)

以上、語尾につけるとおもしろい5つの言葉でした。

まとめ:静岡弁は語尾がおもしろい

静岡弁(しぞーか弁)のお話をさせていただきましたが、クスッと笑っていただけましたでしょうか。

ご紹介した5つの言葉をつかわない日はないくらい、静岡の人にとって欠かせない言葉のように思います。

普段、考えもせずに自然に使っている言葉を、改めて文章や文字にして説明することは少々難しい作業でした。

でも気がついたことがあります。

それは静岡の人は、ことばに感情をのせるのが上手だということです。

感情をのせる言葉が、今日ご紹介した5つの言葉なんですね。

5つの言葉は、どれも感情が反映されていろいろな意味をもつ言葉に変わります。

静岡弁(しぞーか弁)は、標準語に近いけれど標準語とは違う標準語の変化形。

標準語を上手にアレンジし、コミュニケーションツールとして生活に根付いた言葉ではないでしょうか。

本日も最後までおつき合いくださいましてありがとうございました。

次回もお楽しみに♪