
若者たちの農業離れは進み、温室農家にも後継者がいません。
そのため温室やハウスを営む地域でも、草木が生い茂り荒れ果てている耕作放棄地が目立つようになりました。
主(あるじ)を失った耕作地は、一年もしないうちに草が伸び放題。
人の手が入らない土地(温室やハウス)はあっという間に手が負えない状態になってしまいます。
耕作放棄地になりかかっていた土地に手を加え、再生を試みたお話です。
耕作放棄地
耕作放棄地とは、所有している農業用地のうち、過去一年以上作付けせず、しかもこの数年の間に再び作付けする予定のない土地のことです。
耕作放棄地の発生原因は、高齢化による労働力不足が最も多いといわれています。

兄夫婦も高齢となり、手をかけることができなくなってしまった140坪の農地を持っていました。
140坪の土地には、ビニールハウスが立っているのですが、鉄骨の骨組みは雨風にさらされさびついています。
ハウスのビニールや寒冷紗(かんれいしゃ)には穴が開きビリビリに破れ、苔むし茶色に変色して汚く垂れさがっています。
鳥よけとして貼られていたネットも破けて絡まった状態で垂れさがり風に揺れています。
地面は草だらけ。
ゴミも散乱し荒れ果て寂しいかぎりです。

しかし幸いなことに、土地の真ん中に彫られた井戸は水が枯れることなく残っていて、水をくみ上げるモーターも順調に作動します。
そして散水パイプもハウスの中にそのまま残っていたので、修理すれば使えそうです。
耕作放棄地一歩手前まできていまして問題はたくさんありますが、少しずつ手を加えていけば野菜作りを再開できるかもしれないという淡い期待が湧いてきたのです。
隣の土地も耕作放棄地
隣のお宅の土地も何年も前から耕作放棄地になっています。
隣の耕作放棄地はひどい状態です。
管理は全くされてなくて、ほったらかし。
草や木が生い茂り鬱蒼としています。
鬱蒼と茂った木で日がさえぎられ、気味悪い空気が漂っています。
その中に朽ち果てた温室がボーっと立っています。
温室ではさまざまな野菜がつくられてきただろうに、今では見る影もありません。
廃墟化した温室の中は、さらにめちゃめちゃです。
何の木でしょうか、大きくなりすぎて温室の天井を突き破り、さらに上へと伸び続けています。
温室の周りに植えられていた木も大きくなりすぎて、枝も伸び放題。
大きくなった木々で日差しがさえぎられ、わが家の土地への日当たりが悪くなっています。
枝は、わが家のビニールハウスに覆いかぶさるように伸び、ビニールを突き破ってビニールハウスのなかに入り込んでいます。
温室のそばには農機具小屋だったのでしょうか、小屋が立っていますが、小屋全体をつる性植物が覆い、小屋は今にも崩れ落ちてしまいそう。
つるはこちらの土地にまで入り込み、わが家のビニールハウスの鉄骨にまで伸びてきて頑固にまきついています。
困ったものです。どうしましょう…。
本来なら、持ち主に連絡して伐採してもらうのが良いのでしょうが、持ち主もどうすることもできなくてほったらかしにしているのだと推測します。
とりあえずわが家の土地にまで伸びた木々の枝やつるは伐採させていただくことにしましょう。
土地(耕作地)は恵み
人は太古の昔から地に種をまき作物を収穫して生活を営んできました。
人間は土地から恵みをいただいて生きてきたのです。
そのため土地に感謝するこころが根づいていたように思うのですが、最近は土地に固執することもなく、土地を守っていくという考え方が希薄になっているように感じます。
土地に対する考え方も変わってきているのでしょうか。
土地を荒れ放題にしておくことは、長い間たくさんの恵みや恩恵をいただいてきた土地に申し訳ないと思うのですが…
私の考え方が古いのでしょうか。
私にはほったらかしにしておくことはできません。
猫の額ほどの土地を一生かけて苦労して手に入れる人がいる一方で、土地を持っていることを負担に思っている人がいるのですから世の中うまくいきませんね。
耕作放棄地の問題は、近年急増している空き家問題と似ています。
何とかしたいけど…どうすることもできないと困っている人が大勢いるはずです。
お金がかからず気軽に相談できる窓口があったらと思います。
土地の再生をこころみる
今回の再生ですが、あくまでも農地ということなので、別の何かに作り替えるということではなく、農地として再生するという意味でして、もう一度農作物をつくってみようという再生です。
再生にはいくつかの問題点がありました。
- 地面は草だらけ
- 隣家の木やつるで日当たりが悪い
- 虫や害獣が多い
- 何を植えるのか、何をつくるかが問題
隅から隅まで草が伸び放題。
そして隣のお宅の木やつるが、わが家のビニールハウスに覆いかぶさるように生えていて日当たりを悪くしています。
そのためなのか虫や害獣が多いそうです。
一番重要な問題は、この土地に何を植え、何をつくるかです。
再生一年目は試行錯誤でとりあえずやってみようということになり、レモンの木とパッションフルーツの苗木とさつま芋のつるを植え、落花生とかぼちゃの種をまくことにしました。
この場所には一週間に一度くらいしか行くことができないので、なるべく手のかからない植物を選びました。

そうと決まれば、まずは草取りからです。
次にビニールハウスに覆いかぶさっている木やつるを伐採し、汚く垂れさがったビニールや寒冷紗と鳥よけネットを取り外してスッキリさせました。
そして、土地を耕運機で耕して土をふかふかにしたのです。
やっと苗木やつるを植え、種をまく準備ができました。
やっと、やっとです。
青々茂ってくれることを願って、こんな具合に植えてみましたよ。

ここまで頑張れたことをうれしく思います。
まとめ:温室農家家族の奮闘記②耕作放棄地にはさせないぞ!
レモンとパッションフルーツの苗木は順調で、さつま芋のつるも根付きました。
落花生とかぼちゃは芽が出て、もう花をつけているものもあります。
どのくらいの実をつけ収穫できるかはわかりませんが、今のところは順調に育っていてくれています。
また折をみて経過報告をさせていただこうと思っています。
どうぞご期待ください。
本日も最後までおつき合いくださいましてありがとうございました。
次回もお楽しみに♪